【病と生きる】川村ひかるさん(36)

人気グラドル時代の無理が? 若年性更年期障害になって…

「リラックスできる時間が大切」と話す川村ひかるさん=東京都港区


 タレントの川村ひかるさん(36)は33歳のとき、若年性更年期障害と診断された。めまいや吐き気、過呼吸など体の不調と「将来、赤ちゃんが産めなくなるかもしれない」という不安。仕事上のストレスを取り除き、食事や睡眠など生活習慣の改善に取り組んだ結果、2年ほどで症状が落ち着いた。「じっくり自分の体と向き合う時間になった」と振り返る。

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若年性更年期障害の症状に気づいたのは31歳のときです。めまいがしたり、ストレスですぐに吐いてしまったり。夜も眠れず、昼間はぼーっとしていました。仕事中に首から上だけ大量に汗をかいたり、緊張から過呼吸になったりしたこともありました。

 20代の頃から子宮内膜症の治療のために低用量ピルを服用しており、ホルモンバランスが良くないという自覚がありました。最初は「またバランスが乱れたのかな」という程度の認識でした。

 しかし、症状はひどくなる一方。当時は今ほど若年性更年期障害が認知されておらず、受診しても「ホルモンバランスが乱れていますね」と言われるだけでした。

 そこで、漢方薬のサロンを開いている友人に相談したところ、若年性更年期障害だろうと言われました。

 〈更年期は閉経を挟んだ前後10年を指す。加齢に伴い、女性ホルモンが減少することで起こる心身の不調のうち、治療が必要なものを更年期障害という。最近は20~30代でもストレスなどが原因で更年期障害と似た症状を訴えるケースがあり、若年性更年期障害と呼ばれる〉

 若年性更年期障害に詳しいクリニックを探し、ようやく診断がつきました。33歳でした。

 「なんで自分が」「閉経が近い女性がなる病気では」。将来は子供が欲しいと思っていたので本当にショックでした。卵子凍結のセミナーに行ったり不妊治療の本を読んだりして女性の体について必死で勉強しました。

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しばらくつらい症状が続きました。特にひどかったのが吐き気。40キロあった体重が36キロまで減りました。皮膚は乾燥し、髪もパサパサになってしまいました。

 周囲に理解してもらえないことも苦しかった。病気のことを話しても「嘘でしょう」「おばさんの病気じゃないの」と一蹴されてしまう。自律神経が乱れているので感情的になってしまい、「大丈夫だよ」と慰められても、「大丈夫じゃないのに」と涙が出てしまいました。

 低用量ピルが体質に合わなかったので、女性ホルモンを補充する治療法は選ばず、生活習慣を見直してみることにしました。

 当時は自分で経営する会社で、美容に関する新たな仕事の立ち上げを進めていたのですが、断念しました。焦りやプレッシャーが大きなストレスになっていたからです。

 病気であることをなかなか認められなかったけれど、一度受け入れてみると、症状の改善に向けて前向きに取り組めるようになりました。

 ヨガや漢方薬、鍼治療で体調を整え、自炊を増やしました。生活習慣の改善に伴い、次第に眠れるようになり、半年ほどで体調が落ち着きました。ただ、完全に良くなったと思えるまでには、2年かかりましたね。

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今思うと、若い時の無理が原因だと思います。20代前半、アイドルとして活動していたときは、睡眠時間が1日3時間という日が続き、食生活も乱れていました。

 仕事で体を酷使しているのに、夜や休みの日も遊びに出かけていた。それがストレス発散だと思っていたんです。でも、リラックスできる時間を作り、疲れを取って自分の体と向き合うことが大切なことだと、今なら分かります。

 若年性更年期障害は、余命を突きつけられるような病気ではありません。症状がひどかったときは本当に辛かったけれど、自分の生活を見直す良いきっかけになったと思っています。

 私が若年性更年期障害について話すことで、同じ病気で悩む人の役に立てたらいいな、と思っています。

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 〈かわむら・ひかる〉本名非公表。昭和54年、東京都生まれ。16歳でグラビアアイドルとしてデビュー。雑誌やテレビ番組で活躍後、健康管理士などの資格を取得。平成14年、個人事務所を設立、化粧品や発酵食品に関するセミナーや、コンサルティングを行う。著書に「発酵美人」(幻冬舎)。

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